【香港「銅鑼湾書店」失踪事件】書店店長「香港人は強権に屈しない」‐中国当局による拘束の実態を記者会見で赤裸々に語る【冒頭発言全文掲載】

mr lam's press conference



昨年10月以降、香港の「銅鑼湾書店」関係者が次々と失踪し、香港の「一国二制度」を揺るがしかねない事態として大きな問題となっています。現在、失踪した5人のうち4人が香港に戻っていますが、16日、その中で初めて、店長の林榮基氏が記者会見を開き、中国当局による拘束の実態を詳細にわたり供述しました。香港のメディアは連日トップで関連記事を掲載し、またニューヨークタイムズは一面で、またBBCもこのニュースを配信し、日本のメディアでも報じられています。なお、中国政府は、外交部の報道官や官製メディアの記事(後に削除)で反論しています。

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今回は、香港メディアより、林榮基氏の記者会見における冒頭発言[全文]をお届けいたします。前半から中盤にかけて拘束の経緯が詳しく説明され、後半部分からは林氏の覚悟が伝わってくる内容となっています。少々ボリュームがありますが、是非ご一読下さい。(なお、中国や香港の反応については、また稿を改めてお伝えする予定です。)

昨年10月24日、私は(広東省)東莞にいるガールフレンドに会いに深圳で税関を通ろうとした際、深圳当局に拘束された。拘束の際、理由を尋ねた。また一日中、彼らに回答を求めたが、誰も答えなかった。私が(香港と中国の間の)境界を超えようとした時、証書(注)を読み取る機械にひっかかり、私はそこに止め置かれてしまった。入出境管理官が私を指さした。そして、何人かがやって来て、私を左隅に連れて行った。おそらく彼らは私を認識したようだった。そして、何人かの人々…11人いたと思う…がやって来て、私を7人乗りのバンに乗せた。

(訳者注:香港人が大陸に行くときに使う回郷証のことを指していると思われます)

彼らは私を派出所に連れて行き、証書類を取り上げた。その際、何の罪を犯したのか、何度も聞いた。依然として誰も答えなかった。その晩、私は警察署内の留置場に一人で座っているしかなかった。誰かが来て私の姓名を尋ねたが、身分証明書と証書は全て没収されていた。その晩、私は犯罪者用の椅子に一晩中座り、一睡もしなかった。もちろん、彼らは食事を出してくれた。朝7時頃-とても早く-警察署の人と、私を連行する人々が朝食を持って来た。そして7時過ぎに、我々は中国の北に向かう列車に乗った。

私はずっと目隠しをされていた。彼らは私に目隠しをし、帽子をかぶせていて、基本的に私の全身は覆い隠されていた。列車に乗っているあいだ、時々チラッと外を覗いた-何をしたというのだろう?私はどこに行くんだろう?列車には、13~14時間ほど乗っていた。そして、私は(浙江省)寧波に連れてこられてきたということを知った。我々が列車から降りると、彼らは車で45分ほどの場所に連れて行った。大きな建物だった。彼らは私を2階の部屋に連れていった。そして、洋服を脱がせて検査をした。私はその晩、何の間違いを犯したのか、ずっと彼らに尋ね続けたが、答えはなかった。

翌日昼頃、誰かが私の尋問に来た。彼らは依然として、私が何故拘束されなければならないか、はっきりとは教えてくれなかった。私は書類に署名させられた。そこには2項目あった。一つは、家族に連絡をしないこと。もう一つは弁護士を雇わないこと。あの状況では実際、相談する人もおらず-一人きりで-書類に署名するしかなかった。あのような状況では、署名するしかなかった。

それから、彼らは書店での私のポジションを尋ねた。私はかつては店主、銅鑼湾書店の、と答えた(注)。彼らは、どうして大陸に本を送り続けているのか、と尋ねた。彼らは書店の過去の経営状況や、書店と出版社の関係、私と出版社との過去のいきさつを調べた。私は、もちろん正規の書店だと言った。香港の法律の下では、我々は正常な業務を行う小さな本屋だ。香港では合法だ。

(訳者注:林氏は同書店の創始者です。途中で買収された後も、そのまま店長を務めていた模様です)

当初、彼らは私が不法に本を運んだり送っていることが、彼らの法律に違反すると言った。その後、彼らは香港で出版された本は大陸に送ったり持って行ったりしてはならず、それは違法経営だと言った。それから彼らは私が彼らの法律に違反しているので起訴すると言った。

私は2013年から2015年に(大陸に)本を送付していたが、それ以前に、読者に境界を超えて本を届けたことがあった。彼らは私を捕まえ、口頭で警告し私を拘束した。その当時彼らは境界を超えてこれらの本を持ち込んだことが中国の法律に触れたと言った。その後、私は敢えて本を持ち込んではいない。もっとも、これらの本を読みたいという読者がいた。香港は出版、読書の自由がある場所だ。だから私はそのようなニーズがあるのだろうと思った。

大陸の読者のニーズを満足させるため、私は香港から本を送った。それは、香港では完全に合法であり、法律に抵触していない。従って、香港で本を送るという行動がどうして彼らの法を犯すことになるのか理解できない。私が中国の法律を破ったともし彼らが考えるのであれば、香港で正式な刑事事件として起訴するか、法廷で検察が起訴すればいい。それをする余地がある。

それなのに、どうして中国政府は、事前に警告も与えず、境界を超える時に突然私を拘束したのだろうか。もちろん、その過程で彼らは私を悪く扱うことはなかった。食事を与えられたし、医者にもかかることができたし、眠る場所もあった。けれども10月24日以降、深圳で過ごした晩と寧波に行く列車の中を除けば…私は5ヶ月ものあいだ、200から300スクエア・フィート(約19から28平方メートル)にも満たないスペースで、一日24時間過ごした。各2名からなる6つのチームに交代で24時間監視され、自由を奪われた。彼らは私を起訴するために何故こんなことが必要なのか尋ねたい。

彼らは私を”居住監視”に置いているだけだと言ったが、実際には私は一歩も外に出られなかった。私に出来ることと言えば空を見ることだけ、孤立無援で、弁護士も雇えず、家族に電話も出来なかった。どうして堂々たるあんなに大きな中国政府が、一書店主に対し、法律に違反したと判断しただけで、こういう扱いをするのか理解ができない。中国の関係部門に答えてもらいたい。

これは単に私の個人の問題や本を売る権利の問題というだけではない。これは全ての香港人の権利についての問題だ。一国二制度と言うが、私の個人的な経験と同僚たちの経験からはそうではない。中国政府が一国二制度に違反したのか?我々が語る必要はないだろう。私はあなたの行動を見る。正義は人々の心の中にある。

私が今日、何先生(民主派の議員)を通して記者会見を開いていたのは、本当に言いたい事があるからだ。

私は香港に帰って来た。彼らは私が今日香港に戻るのを許可した。

何か月かして、彼らは私を(広東省)韶関に行かせてくれた。そこで彼らは私の為に部屋を借り、長くそこに住まわせるつもりだった。私は4月から6月までそこにいた。そこの方がましだった。より自由だった。それから、彼らは書店に私をクビにさせ、生活費をカバーするため私に100,000香港ドル(約135万円)の退職金を払わせた。これは我々の生活費の足しするためでもあり、ある種の我々への補償でもあった。しかし個人的には、私は補償はいらなかった。私が欲しかったのは自由だけだった。

一昨日まではそうだった。というのも私は香港に戻って家族に会い、先生を訪ねることを許可して欲しいとずっと頼んでいたからだ。長い交渉の末、彼らはようやく戻ることを許可してくれた。しかし条件がついた。それは法廷で使うため、私が本を送った人々の記録が載っているハードディスクを証拠として大陸に持って帰るということだった。

彼らが私を尋問した時には、彼らが李波(訳者注:失踪した一人)に香港から記録のコピーを持ってこさせていたかどうか、私は知らなかった。彼らはコンピューターで私にその記録を見せ、誰が本を注文したのか、私とその人たちとの関係はどうなっているのか直接聞いてきた。彼らは提供されたその記録に基づいて私を尋問したということが今になってわかった。

私は読者のことを彼らには言わなかった。読者を巻き込むのではないかと心配だったからだ。そして彼らが香港人、あるいは私が彼らを裏切ったと考えるだろうからだ。しかし、私は言ってはいない。

彼らは記録は持っていたが、ハードディスクは持っていなかった。私は彼らが誰かにその記録をコピーさせたなどと考えもしなかった。今はもっと悪い。彼らはハードディスクそのものを取って来いと私に言っている。私は一人で戻って来るのを許可されたわけではない。陳と言う名の男性と、もう一人史さんが私にずっとついている。彼は親切でずっと私の世話をしてくれており、感謝している。

今、このことを公にしてしまった。妻と別居した後にガールフレンドに出会ったのだが、彼女は依然として大陸におり、巻き込まれてしまっている。かつて本を送ることを手伝ってもらったことがあるので、彼女も法律を破ったとみなされている。私と同様、彼女も今保釈されて、裁判を待っている。

そして、香港にいる同僚たちの中にも、李波や呂波(訳者注:失踪者の一人)のように大陸に戻らなければならない者がいる。私がこのようにしたせいで、中国政府が私の友人たちを悪く扱かったりしないでほしいと願っている。神が人類に対してよく接してくださるように、中国政府は彼らによく接してほしい。それだけを望んでいる。

戻ってから2日たったが、一睡もしていない。大陸にいた間に、何が起こっていたのか全く情報がなかったので、ニュースや記事を見てキャッチアップしている。特に、6,000人もの人々が街で声をあげてくれたことに本当に感動している。私と面識のない香港人が、我ら5人に、出版社に、書店に対し大きな支援をしてくれた。とても感謝している。

5人の中で、私は他の人より負担が比較的少ない。少なくとも、大陸に家族はいない。いるのはガールフレンドだけだ。もちろん、ガールフレンドにはとても申し訳なく思っているが、考えた末、これは私だけのことではなく、香港社会全体を巻き込む問題だと思った。これは自由の訴求だ。

中国政府は香港の人々を追い詰めた。これは我々の譲れない一線だ。特に李波は香港から連れ去られたと言われている。それは受け入れられない。境界を超えて法を執行することは、もし本当に一国二制度だというのなら、そこにどんな問題が存在するのか。これに対し私も多くは語ろうとは思わない。

香港には法治があり、人権が保障されている。だから私は自分の身の安全を心配していない。私は大陸には足を踏み入れるつもりはない。私はメッセージを伝えたい:我々は、特にここに列席の香港の記者のみなさんは、皆、同じ船に乗っているようなものだ。私個人や書店の自由が干渉されたことは、将来皆さんの身にも起こりうる。きっと起こるだろう。もし我々が声を挙げなければ、もし5人の中でもっとも負担の少ない私が声を挙げなければ、香港に救いはない。

私は出来得る限り、出来得る限り、勇気を奮い起こし、二日間夜を徹して考え続け、この件を出来るだけ忠実にはっきりとみなさんにお話しして、世界の人にも知ってもらうことにした。

これは私のことではなく、本屋の事ではなく、みなさんのことである。これが香港人の譲れない一線である。香港人は強権に屈しない。

引用ここまで。

翻訳元:
Full transcript of Lam Wing-kee’s opening statement at his Hong Kong press conference (South China Morning Post)
(全視頻1+文字精選)銅鑼灣書店林榮基記者會(中国語、但し動画は広東語のみ)
(全視頻2+講話精選)銅鑼灣書店林榮基記者會(中国語、但し動画は広東語のみ)


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