【香港「銅鑼湾書店」失踪事件】新展開‐失踪者が中国中央テレビで”罪状”告白 矛盾点満載で火に油を注ぐ?!中国ネット民「シナリオ書き直せ」←削除される  

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香港「銅鑼湾書店」失踪事件、早速新展開です。

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1月17日の夜、国営通信社の新華社から「香港銅鑼湾書店主桂敏海”失踪”事件調査」と題する記事が配信されました。また中国中央テレビで「桂敏海」の告白が放映させています。このようなテレビにおける公開自白の手口は当局が得意とする手法のようで、上海株暴落の際も虚偽の報道をしたとして雑誌記者が公安当局に拘束され、中央テレビで公開自白に追い込まれています。

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実はこの新華社のタイトルからして既に問題含みなのですが…まず、この記事の要旨を見てみましょう

「【新華社:香港銅鑼湾書店失踪店主 女子大生をひき殺した後自首する】桂敏海は、11年前飲酒運転の事故で女子大学生を死亡させ、収監されるのを恐れ、2004年に執行猶予期間中に他人の身分証を悪用して海外旅行名義で密出国し、海外に逃亡した。2015年6月、父親が亡くなったが、父の最後に立ち会うことが出来なかった。死別の痛みが彼に自首を決心させた。」

引用ここまで。

新華社(国営通信社)の記事はかなり長く、被害者遺族の悲痛な声の紹介からはじまり、”逃亡犯”桂敏海が父の死によって悔い改め、自首をするという筋書きになっています。この記事が事実だとすると、元々中国本土籍の桂敏海氏は、他人になりすまして出国。その後スウェーデン国籍を取得し、香港で書店主となったとことになります。同氏は昨年10月にタイで行方がわからなくなったのですが、突然自首を思い立ち、香港に返ることをやめてタイから中国国内に入り、自首に至ったということでしょうか。

また、記事の中で桂敏海氏は「私はスウェーデン国籍であるが、自分はやはり中国人だと切に感じる。これは私自身が背負わなければいけない責任だ。だから、誰も、どんな機関も私が帰国した事情に介入或は干渉しないでほしい。特に悪意をもって騒ぎ立てることはやめてほしい」と述べています。実際にその”罪状”告白映像を観ましたが、比較的淡々とした語り口調で、少し疲れている印象は受けましたが、それほど不自然には見えません。

とは言え、あまりにも”突っ込みどころ”が満載で、本当にどこから手をつけていいのか迷うくらいですが、まず第一に名前から。今まで香港メディアから失踪したのは「桂民海」氏と報じられてきましたが、新華社、中央テレビでは両方とも「桂敏海」氏となっています。「民」と「敏」は中国語(北京語)では同音です(耳で聞いた限りでは、広東語読みでは異なるように聞こえます)。実はこれには理由があります。

実際に「桂敏海」という人物が、浙江省寧波で2003年に交通事故を起こした記録があり、早速香港メディア(アップルデイリー)がその事件に関する過去の報道を発掘してきました。そこでわかったのが、年齢があわないということです。2005年の中央テレビの報道では、同氏は当時46歳となっていますが、今回の新華社の報道によると同氏は1964年5月生まれ、現在51歳です。引き算をすると2005年当時同氏は39歳のはずで、計算が全くあいません。

また、桂民海氏の娘は、父親から交通事故の話など一切聞いたことがないと、香港メディアのインタビューに答えています。また香港メディアは同氏とタイで同行していた男性の話を引用し、同氏は買い物に出て行き、そのままいなくなったと報じています。国籍国のスウェーデン当局は家族からの連絡を受けタイ警察に照会しましたが、タイからは出国記録がないとの回答が返ってきたとのことです。

新華社の報道からたった一晩でこれだけ辻褄の合わない点が噴出しているのですから、香港メディアのことです、今後おそらくより多くの矛盾点をついてくるでしょう。

それでは、中国本土のネット民の反応はどうなっているでしょうか。微博(ウェイボー)のコメントは次々と削除され、まともに残っていない状況ですが、一部削除前のコメントも確保していますので、以下ご覧ください。

【現状掲載されているコメント】

→ハハハハ

→法網恢恢疎にして漏らさず

(訳者注:法の網を天網恢恢~にかけていますね)

→どんなか形の違法犯罪案件も厳格に打ちのめさなければならない

→戻ってきて自殺するなんて、少しは良心があるんだね

→スウェーデン国籍をとって、(一国)二制度の地に住んで、それなのにまたなんで中国人の身分で帰国して自首するんだ?この事件はどうして何か変なんだ?なぜまずスウェーデン国籍をを放棄して、居住しているところの政府に向かって説明してから、帰国して自首しないのか?テレビの1チャンネルで、悪意をもって騒ぐななどと普通言うだろうか?孫子:自分の尻をきれいに洗ってから自首して死ねば?(怒りマーク)

【削除が確認されたコメント】

→失踪したのは、複数の人だよね。特に李波はどうした?シナリオには次にどう書くつもり?

→わかったわかったわかった、信じるから、銃を下におろせ

→失踪した五人の人が一緒にひき殺したんじゃないの、横店(訳者注:抗日ドラマの撮影で有名な撮影所)に戻って、書き直せ

→一人の内地人として、当局の説明を全く信じていないことを表明します

→タイで拉致されたの?

→香港人よ震えろ。支那大陸人(原文ママ)はこういう風に生活しているんだ。

→桂民海と李波は二人とも突然失踪させられて、その後異口同音に自ら帰国して自首し、みんな大騒ぎするなと言っている。劇のストーリーはなんでこんなに似ているの?どうして彼らは急いで帰国して自首しなければならないの?桂はまず香港から飛行機に乗ってタイで仕事をして、突然良心が芽生えて、帰国して自首するためにタイの北部の山岳地帯を突き抜け、艱難辛苦を乗り越えて雲南に行き、中国に入り、自首という大きな願いを実現したなんて、本当に匪賊が考えそうなストーリーよね。

(訳者注:ここで言う匪賊は、中国共産党をさします。なお、このコメントは簡体字で書かれていますが、プロフィール等より判断するに、このコメント主は、香港人の女性の可能性が高いようです)

→オスカーの最優秀シナリオ賞は大天朝(訳者注:中国のこと)当局関係部門の関係人員には贈られない。本当に、最優秀という言葉には値しない(笑顔マーク4つ)

引用ここまで。

翻訳元:微博

補足:

昨今、香港メディアを取り巻く環境は、非常に厳しくなっています。経営難を理由に紙媒体が相次いで廃刊し、放送局も閉局が決まっている局があります。また英字高級紙「サウスチャイナ・モーニングポスト」は最近中国の富豪ジャック・マ氏に買収され、中国政府批判が難しくなるのではないかとの観測も出されています。そのような中で起こった「銅鑼湾書店」関係者連続失踪事件は、自由な言論に対する脅しと捕えられており、香港のメディア界もここが正念場というところなのかもしれません。

天津大爆発の際も、香港メディアは記者を天津の病院に派遣して、果敢に現場取材を繰り広げると同時に、事件の背後に党の中央が絡んでいる可能性をいち早く報じていました。厳しいネット規制や言論統制が行われている中国本土ですが、香港メディアの報道は中国本土、特に隣接する広東語文化圏には色々な形で流れこんでくるようです。中央が一番恐れているのは、中国国内で伏せておきたい情報が、香港から逆流してくることなのでしょう。国内メディアににらみをきかし、金盾と呼ばれる鉄壁のネット検閲システムを構築しても、香港が蟻の一穴となって、決壊を引き起こしかねないのかもしれません。


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