【中国の反応】南シナ海公海上で、中国軍がアメリカ軍の潜水ドローンを拿捕

drone-seizure

アメリカ国防総省は、南シナ海で中国軍がアメリカ軍の潜水ドローンを拿捕したと抗議し、ドローンの返還と再発の防止を求めています。

中国国内での報道ぶりを見てみましょう。外国メディアは日本時間の今朝(17日)早い段階で本件を報じていますが、中国ネットではまず第一報は同日午後、外信を引用する形で配信されています。

「【ペンタゴン(国防総省)は、中国海軍がアメリカの潜水ドローン艇を取り押さえたと発表】AP通信の報道によると、ペンタゴンは、中国軍艦艇が南シナ海でアメリカの海洋観測を行う潜水ドローン艇を拿捕したと発表した。英ガーディアン紙はアメリカの当局者の話を引用し、事件が起こった時、潜水ドローン艇は観測を行い、機密ではない数値を収集していたと報じている。報道によると、アメリカは抗議し、中国に返還を求めている。」(財経ネットより)[冒頭写真添付]

引用ここまで。

欧米メディアで第一報が流れてから、中国政府の反応はまだかまだかとずっと待っていたのですが、本日夕方になってようやく人民日報系列の官製メディア、環球時報が軍関係者の話を匿名で引用する形でようやく中国政府の反応を報じました。

「【中国の軍関係者が確認した:南シナ海で正体不明の装置が発見された】中国海軍の救助艇は南シナ海の関係海域で正体不明の装置を発見し、航行の安全問題の発生を予防するため、その装置に対し識別・調査を行った。中国側は既にアメリカからその装置の引き取り請求を受けており、双方の関係部門は円滑なコミュニケーション・チャンネルを保っており、本件も順調に解決すると信じている。」(財経ネットより)

引用ここまで。

随分と抑制された口調です。事件が発覚してからしばらくだんまりだったうえ、中国側の反応が国防部の報道官発言ではなく、関係者が匿名で官製メディアを通じて発表する形となっています。確信はもてませんが、中国の中央にとっては、今回の事件は都合が悪かったのではないかと当方では感じているのですが…

最近の南シナ海仲裁判決や尖閣諸島、宮古海峡での飛行などを見ると、中央の肝いりで外国に挑発をしかける際には、殆ど待ってましたとばかり自国メディアを総動員し世論をかきたて、ターゲットに対し盛大に噛みつくのが現代の中国政府のスタイルのように見受けられます。ところが、都合の悪い問題、あるいはふいをつかれた場合は、先日のトランプ‐蔡電話会談の時のように、長い時間だんまりの後(協議でもしているのでしょう)、ようやく対応を決めた後にしかるべき人物が口を開く傾向があるようです。もっとも、トランプ‐蔡電話会談の際はそれでも一つの中国の主張を繰り返していましたが、本件に至っては、しかるべき人物が表に出て口を開きもしないばかりか、反論が一切できていません。

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中国国内の報道では南シナ海としか触れられてませんが、今回の事件は中国が領海と主張する(そして仲裁裁判で否定された)九段線の外であること、またアメリカ側に詳細を公表されており、さすがの中国とは言えなかなか強弁がしづらいのでしょう。

このような反応を見るに、現場なのか中枢に近いレベルなのかはわかりませんが、本件は軍部の勇み足であると考えられるのではないでしょうか。もちろん、軍部が先走っても、それを中央が追認することは可能でしょうが、今回は政治判断により穏便にすます道を選んだのかもしれません。もっとも習近平政権はメンツを潰されたと感じているかもしれませんが。

なお、英米のメディアも、今朝の段階で本件をヘッドラインで報道しており、深刻な事態と受け止めている論評も出ています。(ご参考:Bloomberg Politics-Why China’s Seizure of a U.S. Naval Drone Is So Provocative: Q&A[December 17, 2016] )

中国政府の慎重姿勢とはうらはらに、中国国内のネットでは、ある意味天真爛漫と言えそうな反応が主流のようです。(コメントの削除の有無は不明です。)政府の南シナ海に関する大々的な教育及び愛国キャンペーンの成果があらわれているのでしょう。中国政府は、国際法における領海や公海の概念についてうやむやにしたまま、南シナ海は領海だと国内でひたすら言い張っており、南シナ海イコール(すべて)中国のもの、という極端なコメントすら散見されるほどです。また、今回の事件が中国政府が領海と主張するいわゆる九段線の外で発生したという事実は伝えられないまま、南シナ海とのみ報道されています。一般の国民が本件の潜在的な重大性を感じていないのも、無理のないことかもしれません。

微博(ウェイボー)より、コメントを見てみましょう。

→相手は既に何か言ってるのに、まだ”正体不明の装置”だなんて言ってる。

→まず、番号を取るために並び、ハンコをもらうなど手続きを終えてから、また声をかけてください。

→我々の一貫したスタイルにあうね。

→すごい。我が国の水上ロボットの技術が五年は進歩した感じ。

→開けて見た?

→うまくやった、今回は文句のつけようがない。さあ、次。

→不服があるなら、戦争しに来いよ

→こじ開けて捨てて、やつらに拾いに来させればいい

→こういう正体不明の装置は、おれたちが研究してよくわかってから返してあげる

→誰か教えてくれ、こういう行動は高級幹部の許可がいるのだろうか

→開戦準備だ

→なんだ、トランプはまだツイッターでつぶやいてないのか?マジな話、国がもっと強硬になってほしい

→ああ、この理由はでっち上げだよね、航行の安全に影響あるっていうの。

→また、技術が飛躍する時が来た。

→祖国がまたならず者だったに決まっている。

→うちの家の前まで来て、物をポイ捨てするのか?

→まあまあ焦るな、壊して研究してから返してあげるから。

→ハーグ国際法廷に行って、おれを訴えたら

→もう既に開けて壊して捨てちゃった

→まずアメリカのものだって証明したら、返してあげる

→自分の実力で取り返せよ。どうして返さなきゃならないんだ。

→おれたちが実力で奪ったんだ。どうして返さなきゃならないんだ

→くそ、おれのコメント速攻削除したのか?おまえら本当に創造調和社会だな!ハハ

(訳者注:調和社会とは、胡錦濤政権が掲げたスローガンです。”調和させられる”とは、コメントを削除されることを意味するネット・スラングです)

→アメリカとやりあう気力があるのか?

引用ここまで。

引用元:微博


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