【総力特集】「雲落暴動」12月末に中国広東省で大規模暴動発生!-当局は大量の警官隊を投入、中学校を封鎖、住民を警棒で殴打、催涙弾発射で負傷者多数、徹底した報道管制か【画像・動画あり】

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昨年12月24日、広東省普寧市雲落鎮でごみ焼却場建設に反対した中学生に対し当局が多数の警官隊を投入し、大きな衝突に発展、流血の事態となりました。この事件については香港メディアや米国の中国語ネット・メディアが報道し、また日本では共同通信が当局の発表に沿って短く伝えています。(ご参考:産経ニュース中国でごみ施設に反対、150人が暴徒化し警察・学校襲撃 広東省:12月15日)中国国内では厳しい報道管制が敷かれている模様で、事件直後に出された報道もネット上から殆ど削除されているようです。微博(ウェイボー)では「雲落暴動」が検索不可ワードとなっています。

中国で暴動は珍しくありません。しかし、この事件はいくつかの点で注目に値します。まず、現代中国の抱える汚職や腐敗、都市と農村の格差といった主要な社会問題が要因となっていること、とりわけ環境問題が引き金となっていることが挙げられます。何より特筆すべきは中学生の関与です。成人の住民だけでなく中学生が警官隊に弾圧され、多数負傷していることがこの事件を知る人々に大きな衝撃を与えています。

限られたネット上の情報を整理し、この事件の輪郭を浮かび上がらせていきたいと思います。まず、微博に現在(1月4日現在)も掲載されているメディア記事は、以下の中国国内メディアの記事一本だけです。

「【広東(省)百人を超す人々が生活ごみのプロジェクトに対し抗議 教師と生徒を脅し学校を打ち壊す】最近、ごく一部の人間がデマを流して民衆のデモを次々と扇動し、集団で陳情に行き、普寧(市)雲落に新しく建設される生活ごみ環境中心プロジェクトに反対している。(12月)24日、150余名の挑発分子が鎮(町)の二か所の学校に強制的に流れ込み、教師と生徒を扇動して脅し、そのうちの一つの学校の門や窓などの設備を打ち壊し、ごく一部の先生や生徒が負傷した。(中新ネットより)」(12月27日)

これが当局が発表したオフィシャル・ラインのようです。

一方、外部メディアの報道をみてみましょう。米国の中国語ネット・メディア(新唐人電視台)は、現地の住民への電話取材などを通じ情報を収集しているようです。同報道(動画及びテキスト)によりますと、24日、ゴミ焼却場建設に反対した現地の中学生が授業をストライキしたため学校側が警察に通報。十数台のパトカーが到着し学校を封鎖し、中に閉じ込められた中学生と警官隊との間で衝突が起こったとのこと。保護者や他の村民も加わり路上でパトカーをひっくり返すなどの騒ぎとなり、最終的に警棒と盾を持った大勢の警察官に鎮圧され、多数の負傷者が出たと伝えています。

また、香港の東方日報は、ストライキを起こした生徒達に対し(公安の)派出所の所長がごみ焼却場建設への同意書に署名するよう強要したが生徒たちが拒否したため、怒った所長が机を掴んで殴打、それに生徒側が椅子を投げて反撃したところ、警官隊が増派されたという村民の話を紹介しています。また、抗議に参加した中学生は千名に上り、十数名の学生や村民が拘束され、数百人が負傷、その中には中学生・小学生も含まれていると伝えています。当局の発表より、少なくとも一桁は大きい規模のようです。

削除を免れている微博の投稿をいくつか拾ってみましょう。

まず事件前に既にこのような文章が投稿されています。

「私の美しい故郷広東省普寧(市)雲落鎮は、遠くない将来に顔面が蒼白になるような伝説の中のガン村・町になってしまうのだろうか?」(12月19日)

yunluo hk paperこの投稿には香港の新聞(と思われる)を撮った写真が添付されています。記事は「普寧数千人がゴミ発電所の建設に反対」との見出しの下、同鎮(町)の数千人の村民が2日間にわたり反対デモを行い、警察と小競り合いになったと報じています。また、同鎮の学生もデモに加わったため、授業が一部休講になったこと、武装警察と反暴警察(SWAT?)が投入されたとも伝えています。これだけを見ても、24日の事件以前に既に警察と村民の間に緊張関係があったことがわかります。

12月24日の事件発生後の投稿を見てみましょう。

「広東(省)普寧市雲落鎮はごみ焼却発電所を(住民の)居住区から一キロも離れていないところに建設する為、村民が市政府で抗議行動を行った。市政府は武力鎮圧を強行し、全てのニュースを封鎖し記者が報道するのを禁じた。天よ、天理はどこにある、外の世界の正義の人が関心を注いでくれるよう求む」(12月25日)

(訳者注:天理とは道理や道義のことです)

「広東省掲陽市普寧市雲落鎮で本日(訳者注:昨日の間違いか)発生した事件。特警が殴打した事件。みなさん、小さな手を動かして転送してください。より多くの人が特警が殴打した事件に関心を向けるようにして下さい!」(12月25日)(以下の写真を添付)
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「当局が言っている言葉は、事実と全く違う!記者は雲落に来て見てから書いてくれ!雲落の人民は命を懸けて故郷を守る道を捜しているんだ」(12月25日)

「微博に普寧雲落の事が載ってないんだけど?雲落でいったいどんなことが起こったの?」(12月25日)

→広東(省)普寧雲落でごみ焼却場を建設する土地の選定が間違っていた。学生が授業をストライキをして文明的に抗議をした!24日の午後に政府が大量の特警を出動させ老人、学生を殴り、催涙弾を放った!敢えて報道しようとするメディアはない。我々はみんな中国人だ。どうしてこのような扱いを受けなければならないのか!多くのネット民が私たちを助けてくれることを願う(号泣マーク2つ)(12月25日)

→去落(原文ママ)に関係することは全て和諧(訳者注:削除)された。雲(原文ママ)に関する情報を投稿する度にすぐ削除され、今、私たちは再び似たような情報を投稿したらデマを流布した罪になると警告までされている。庶民の苦しみだ。あなたにはおわかりだろうか?素晴らしい外国メディアと香港メディアは事実を報道し、我々を一貫して助けてくれている。でも我々大大中国には、我々を助けようとしてくれるメディアは一社もない。(12月27日)

(訳者注:このコメントの投稿主は、”雲落”と書くと削除されるのではと恐れているのでしょう、わざと云《雲の簡体字》に似た”去”の字を使っています)

また、ある投稿には、当日に交わされたチャットのスクリーンショットが張り付けてあります。時刻は丁度午後4時を示しています。

「特警が人を殴り始めた」「混乱している」「大混乱だ」「なんで特警は人を殴っていいんだ??」yunluo chat2

また、別のチャット(スクリーンショット)では:

「信じられない!雲落の数千人がゴミ処理場建設に反対してデモをしている!なんとたった今、武装警察がうちの家の向かいで手榴弾(訳者注:おそらく催涙弾の間違い)を投げた!子どもが負傷している!今、多くの人が警棒で殴られ怪我をしている!頭から血を流している人もいる!骨折している人もいる!今晩、雲落は眠ることができないだろう…」(午後4時25分頃)yunluo chat1

また、別のチャット(スクリーンショット)では:

「雲落全体が混乱した」「どう混乱したの」「今日は大混乱だ」「いっぱいの人が殴られて死にそうなほどだ」「何百人もの特警が来た」yunluo chat3

YouTubeにも、住民が写したこの事件の動画がいくつか掲載されていますが、この事件の報道が極端に制限されていて、外部にもあまり知られていないためか、閲覧数は非常に少ないままです。

一番よくまとまっているのはこちらの動画。(1:07)(中国語ナレーション、中国語字幕付)↓

次にご紹介する動画は住民が写したと思われる複数の動画をつなげたもの。かなり長く、重複もしていますが、いま出回っている事件当日の動画は、ほぼ網羅されています。じっくりと観たい方向けです。

→こちらのリンクからどうぞ:【烽烟四起】2015-12-24,广东省普宁市云落镇反垃圾焚烧示威升级全镇变战场。(11:03)

こちらの動画は、警官隊がデモ参加者を追いかけている場面。特に冒頭部、警棒で殴打している様子がよくわかります。(1:34)↓

逆に、民衆側が警官隊の一部を撃退する場面。(0:39)↓

こちらは、12月24日以前の反対運動の様子がよくわかる動画(静止画も多数含む)。12月15日の反対運動の様子が主に写っていますが、それ以前と思われる画像も含まれています。反対運動の規模の大きさがわかる画像も掲載されています。(2:51)(中国語ナレーション、一部中国語字幕付き)↓

ご興味のある方は「云落」(雲落の簡体字)でYouTubeを検索すると、関連する動画がたくさん出て来ますので、お試しください。

ところで、問題のごみ焼却場ですが、単なる生活ごみの焼却場ではないようです。このプロジェクトの正式名称は「普寧市生活ごみ焼却発電所プロジェクト」で、冒頭の「中新ネット」の当局サイドの記事には「発電所」である事実が抜けています。加えて、既出の香港の新聞記事(写真の記事)には「生活ごみ及び工業廃棄物」のごみ焼却発電所とあります。微博にも住民たちがごみの焼却により発がん性の物質が排出されることを恐れているという内容の投稿が見られ、おそらくは工業廃棄物も処理されるものと考えられます。

ここで、この「ごみ焼却発電所プロジェクト」の背景を少し探ってみましょう。

普寧市が同プロジェクトの計画を発表したのは2013年9月5日、翌日には微博にもその旨が掲載され、同時に広く市民から意見を募っています。(意見募集期間は同9月18日まで)

2014年2月22日には、あるネット民が微博に以下のような文章を投稿しています。

「広東(省)掲陽普寧市雲落鎮石示坑村:2013年12月、鎮政府某リーダーの意を受けて、村の書記兼主任汪某は村民の同意を全く得ず、村の班員の会議を招集せず、勝手に鎮政府と協議し、契約(内容は不詳、今に至るまで詳細は知る由もない)を締結し、村が集団で所有する山林地にごみ焼却場を建設することに同意した。村民の利益を重大に損ない、プロジェクトを法や規則に反し密室で取引する重大事件に関し抗議する」

実はこの時期、上記投稿と相前後して、ほぼ同じ内容の投稿が複数みられます。全て異なる投稿者によるものであることから、この内容がネット上で拡散されていたのかもしれません。

2月26日に市政府は同プロジェクトについて、環境の観点からの意見を市民から募っています。(意見募集期間は同3月7日まで)

なお、このごみ焼却場は既に着工しており、住民の広範な反対にも関わらず、当局は工事を差し止めるつもりが全くないようです。

これらのことから、少なくとも雲落鎮政府及び現地の村の書記が、利権に目がくらんだのでしょうか、住民の意向を顧みず、手続きを無視し独断でこの「ごみ焼却発電所」プロジェクトを進めてきたことがうかがえます。過去の微博の様々な投稿を見ると、この普寧市で生活ごみが社会問題化しているのは事実のようで、不法投棄や不法焼却などを批判する内容が住民から度々投稿されています。しかし、老若男女を巻き込んだここまで大きな反対運動が巻き起こった背景には、当局の独断的手法に加え、やはり著しい環境汚染を引き起こしかねない工業廃棄物の存在があるのではないでしょうか。なお、北京や上海と言った大都市近郊でも、ごみ焼却場は大きな社会問題となっています。(普寧市は経済特別区に指定されているスワトウ市に隣接しています。もっとも、このゴミ焼却場にどこからごみが運び込まれる予定かについては、確認できていません。)

この事件の続報は全く入ってきていないようです。ただ、12月29日付けの普寧市教育局のサイトに、同局局長が雲落鎮の小学校や中学校を視察したという記事が掲載されています。一部を引用してみましょう。

「李局長は村の党と政府が力を傾け、学校の運営条件を改善し、全力で学校の正常な秩序を維持していることに、感謝と称賛を表明した。彼は、学校に対し、管理を更に強化すること、(中略)ごみ環境保護処理の科学的知識を(学生が)学び、学生に科学を尊重させ、科学を信じさせ、学生を通じて保護者に影響を与え、雲落で理解を形成し、ごみ環境処理センターの建設の良い雰囲気を支持することを要求した。」

同局長は、今回の事件の舞台となった雲聯中学も訪れており、同サイトには授業に臨む中学生の姿も掲載されています。全てはほぼ正常に戻ったのでしょうか。少なくともこの記事と写真からは、秩序が保たれ正常化した学校の様子をアピールする狙いがうかがえます。

以上が海外メディアの報道と微博から見た「雲落暴動」の概略です。地理的に香港からさほど遠くなく、また華僑の多い土地柄ですから、何らかのルートで情報が漏れ聞こえてくることもあるかもしれません。今後も注意深くネットを注視し、続報などあれば当「人民のつぶやき」でも取り上げていく予定です。

引用・翻訳元:微博
http://ca.ntdtv.com/xtr/gb/2015/12/25/a1243539.html
http://hk.on.cc/cn/bkn/cnt/news/20151225/bkncn-20151225103700102-1225_05011_001.html
http://www.pnjyj.gov.cn/a/jydt/2015/1229/9660.htm

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補足:

実はこの1~2週間ほど(本事件にまだ気が付く前)、当局によるネットの管理がかなり強化されているのではないか、と感じていました。微博上における投稿やコメントの削除がかなりあからさまで、画面を更新する度にコメントが大量に減っていく、あるいはコメント数が不思議な乱高下を見せた挙句、途中で突如閲覧不可となる、といった場面を私自身何度も目撃しています。12月20日に発生した広東省深圳の大規模地滑りで、当局が相当神経を使っているのだろうと思っていたのですが、原因はそれだけではないのかもしれません。実態をうかがい知ることはなかなか難しいようです。
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